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国産乗用車をオリジナル福祉車両に架装/改造できますか?
普段私たちを使い好きな時に好きな場所へ移動する自由を叶えてくれるクルマ
でも、家族に身体が不自由でちょっとした外出でもクルマへの乗り降りが
大変な場合「介護タクシー」を手配したり、気兼ねして家に閉じこもって
しまっていると精神的にも憂鬱な気分になってしまいます
「福祉車両」は決して特別なクルマではありませんし
そうあってはならない乗り物だと思います
「福祉車両」の概念は様々です、国産メーカーのラインナップは
いろいろありますが自分のライフスタイルに合ったクルマが
必ずしも希望する「福祉車両」とマッチングするとは限りません
クルマを衣類に例えると
フォーマル・カジュアル・スポーツ・ワークなど
それぞれのライフスタイルに応じて好みのベースを選択して
着丈、袖長、ポケットの位置、ボタンなのかジッパーなのか?
衣類を選ぶようにオーダーメイド感覚で自分仕様の「福祉車両」を
手に入れることが出来れば
憂鬱な気分になっていた外出も、乗る楽しさで次の外出が楽しみになると
思います
福祉車両のラインナップに無いクルマでも大丈夫ですか?
お電話でご相談を頂く際にまず最初の言葉で一番多いいのが・・・
「福祉車両の事で少し相談があるのですが・・・・?」
十数年間、色々なご相談をいただいてきた今でも変わりはありません
お悩みの根幹にある問題点が漠然としているのが大きな要因だと思います
たとえば、クルマへの乗り降りが困難という問題点があった場合。
問題点があれば問題を解決する手段を考え解決策を講じれば良いのですが
最適な解決策を見つけ出すためには沢山の情報が必要になります
- 自分一人での乗り降り?それとも介助者の援助のもと?
- 介護を受ける人と介助者の双方が出来る事と出来ない事は?
- 介護が必要な人はつかまり立ちができる?それともクルマ椅子が必要?
- 自動車を運転できるひとはどんな大きさのクルマまで運転可能?
- 自宅周辺の環境や駐車場所は乗り降りに何か配慮が必要?
- 今後の環境やお身体の状況が変わる可能性は?
- 主な使用目的や使用環境は?
そのほかにも見落としがちな事がたくさん見え隠れします
取り付け可能か?・・と、使うことが出来るか?・・は違う次元のお話です
先ほどの衣類に話を戻しますが、皆さんのお宅のタンスやクローゼットの
中に買ってから一度だけ、着たけれどずっとそのまま着ていない衣類ってありませんか?
買ったときはぴったりだったけどお腹周りのサイズが合わなくなったり
デザインが気に入って飛びついたけど着てみるとなんだかシックリしない
子供の成長が早くあっという間に着れなくなったもの
衣類であればそのままにして於いて構わないものなら良いのですが
クルマとなると、そんなに簡単なわけにはいかないですよね
自分の欲しいモノは何なのか?「目的」を明確にしましょう!
助手席を福祉車両に改造した一例を紹介します
ご家族の送迎のためクルマへの乗り降り負担を軽減する
ご相談を頂きました
奥様が運転をされるため大きいクルマの運転は難しいため
軽乗用車に助手席回転シートの組み合わせが選択肢に挙がりました
再度、目的を明確にするため実物を確認しましょう!
ベース車両はスズキスペーシア、乗車位置は助手席で決定
では、実際の乗車する際の詳細な位置関係を確認してみましょう
運転席・助手席にそれぞれ回転シートを装着した試乗車で現実的な位置関係や
高さ・奥行きの確認をしていただきます
改造のベース車の隣りに試乗車を置き比較検討することで、よりイメージが
はっきりとすることが出来、隠れている問題点などの確認も容易になります
回転シートベースも「手動」「電動」いずれの選択がベストか?
同時にシートなどの組み合わせ選択による予算も解り易くなります。
アウトラインが決まったら、ここからProのデザイン開始です
ベースのスズキスペーシアの車枠、フレーム、内装寸法を正確に測定
オートアダプト社の計測シートに記入して取り付け後の標準寸法を出します
ただ、このままでは「取り付け」の範囲内
今までのお客様の話を集約して乗り降りを楽にするための優先事項について
お話をしていきます
- 乗車の際の座面高さを優先するのか?
- 車枠から足元を出し入れする空間を優先するのか?
- 座面を展開した時の車枠からの奥行き寸法を重視するのか?
今回は乗り降り介助するご家族の負担を重視して座面展開時できるだけ
車枠から手前に座面を出せる点を優先しました
私たちの仕事は一見クルマに対して行っているように見えますが
人に対して行う仕事なのです
福祉車両の改造のなかで介護系改造は特に「人の気持ち」が重要になります
介護される人、介助する人、家族、時間と費用をかけて最適と思われる
製品を作ってもそれぞれの立場の人の「気持ち」が反映されていないと
ただの機械になってしまいます
自動車って自由に行きたいところに連れて行ってくれる
楽しい「ワクワクする乗り物」のはずですから。